ここではない、どこか遠いところ

グアテマラの旅行記を書いています。時々本のレビューも。

Día 2-1. アエロメヒコの中で

2013年4月12日。LAでの長い長いトランジットを終え、アエロメヒコに乗りメキシコシティ国際空港に到着した。

アエロメヒコに搭乗する時点で実は早くも、とても疲れてしまっていた。機内食も出ず、寒いし、脚はむくんでパンパンで、お風呂に長いこと入っていないから体がかゆい。

すべてが面倒になってきた。


一歩踏み出すことや冒険すること、遠い世界を求めて飛び立つこと、人と違った道を選ぶこと、それらにはいつも莫大なエネルギーがいる。

安住するということは、普段考えている以上に楽なんだ。

と、こうして外へ飛び出すと感じる。…何不自由なく会話できる人たちと、満点のサービスに囲まれて過ごす日々は、本当に楽なんだと思った。きっと、一生をそうして終えてしまったら、いかに楽なことかわからないんじゃないか。


旅へ出た人の日記を読んでいても楽しいことばかり並べてあるし、トラブルがあっても「結局うまくいった」という結果だけが書いてあるから、そんなに「しんどい」感じがしない。

でも、実はけっこうしんどいんだ。飛行機で足がのばせないだけでも、10時間空港で待機するだけでも、お風呂に入れなくて体中かゆくてたまらない、そんな些細なことだけでも。スペイン語が全然わからなくてへこむなんて当たり前なはずなのに、それもしんどい。


私たちはどうしても外に出たくて何かを見たくて旅をする。旅をしたり、挑戦したり、新しいものを作ろうとしたりする。私自身これまでも人に反対されるようなことをしてきて、そのたびしんどかったんだろうけれど、忘れてしまっていた。

当たり前なのに、ひとつひとつの些細なことがしんどい。不安で、緊張して、頼る人もいなくて、怖いときもある。


でも、フライトの最後のほうでメキシコ上空の夜景を見た時、それがあまりにもすごくて圧倒された。沢山の金属を混ぜて、それらを半田ごてで少しずつ溶かしていったような…そんな光景がひとかたまり、ふたかたまり、山の向うにまで広がる。圧巻だった。写真を撮ってみたけれど全然とらえることができなかった。

メキシコシティ上空の夜景がこんなにも美しいと、誰が教えてくれるだろう。そして、誰がこの美しさを写真におさめられるだろう。きっと来なければ得られなかった体験と思うと、少し幸せになれた。

来て良かったと思う瞬間がたくさんやってくるはずだから、がんばって一人でやってみよう。心のなかでつぶやいた。

(2013.4.12)


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